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外壁材の選び方のポイント

2018年1月29日「月曜日」更新の日記

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 住宅の耐久性や耐火性、断熱性といった性能面や見た目のデザイン性等に大きく関わってくるのが外壁材です。外壁材には湿式の塗り壁やタイル張り、乾式のサイディングやALC(気泡コンクリート建材)といったコンクリート系があり、どれを選択するかによってコストやメンテナンスなどが大きく違ってきます。  まず、これまで住宅用として最もポピュラーだったのが塗り壁です。一般的にモルタル塗りを基本として、その上にリシンかき落としや漆喰仕上げ、吹付け仕上げなどで化粧を施します。モルタル塗りは防火性・遮音性にすぐれ衝撃にも強いのですが、湿式のため乾燥までに時間がかかります。その際、ひび割れが起こる可能性があり、施工には細心の注意が必要となります。  化粧となるリシンかき落としは、白セメントに石粉と顔料・防水剤などを加えたものを水で練り、モルタルの下地面に塗り付け、硬くなる前に表面をかき落とします。深みのある落ち着いた外観になります。  漆喰仕上げは、白壁とも呼ばれる伝統的な外壁仕上げです。主成分は消石灰で、亀裂が生じにくく平滑な表面が得られます。しかし、耐水性に難があります。  モルタル塗りの仕上げで、最も普及しているのが塗料の吹付け仕上げです。吹付け材にはセメントリシンなどの無機質系とアクリル系リシンなどの有機系がありますが、一般的に有機系のほうが耐食・耐候・耐水性にすぐれています。  湿式外壁材のもう一つがタイル・石張りの壁です。重厚で上品な外観デザインになるとともに、耐久性にたいへんすぐれ面倒なメンテナンスの心配もありません。ただ、住宅用の外壁材としては最も高価で、施工も難しいのが難点です。  乾式壁材としては、ベースになる素材によって木質系や金属系、窯業系、コンクリート系などの種類があり、それぞれに特徴があります。  木質系外壁材には、天然木材や耐水合板サイディング、硬質繊維板サイディングがあります。天然木材は昔ながらの板張りですが、木材の高騰や耐火上の問題から最近ではほとんど見かけなくなりました。代わって木の質感のある外壁材として登場してきたのが、耐水合板や木材チップをパルプ状にした硬質繊維板サイディングです。いずれも継ぎ目の防水や材料のムダに注意することが必要です。  金属系外壁材は、防水性や施工性にすぐれ、軽量でデザイン的にも斬新なことから最近急速に普及してきた外壁材です。断熱材やボードを入れることで性能を高めた製品が主流になっていますが、衝撃によるキズで錆が発生することや複雑な形状に適さないといった難点があります。  一般にALCと呼ばれるコンクリート系外壁材は、発泡剤の混入で小さな気泡をつくり高湿高圧で蒸気養生した軽量コンクリートで、耐火性や耐久性、断熱性、吸音性などに富んでいます。一方、防水性と強度に難点があるため、コーキング材による目地の処理と防水性のある吹付け仕上げが必要になります。難点は材質的にキメが粗いので、オフィスや倉庫等にはよく使われますが、住宅にはデザイン性や質感で劣ります。  外壁材として現在、最も一般的なのが窯業系サイディングでしょう。耐水・耐火・耐久性にすぐれ、さらに遮音性や断熱性、耐候性にも配慮したグレードの高い製品も開発されています。モルタル壁に比べて工期が短く重量も軽いなどのメリットがあります。特にデザイン性で最も人気があります。  ただ、ひと囗に窯業系サイディングと言っても、厚さや施工方法等によって性能に大きな差が出るので注意が必要です。コストだけを考えれば、12ミリ厚のボードを釘打ちするのが最も安くなります。しかし、この方法ではボードが構造体に固定されてしまうため、地震や風などの荷重による変形の影響をモロに受け耐久性の面で問題を生じます。  そこで当社の「カトラン」では、15ミリ厚のボードによる引っかけ金物工法を採用しています。この方法だと構造体に固定されないため、外部からの荷重の影響を直接受けることはありません。  サイディングの外壁材で、もう一つ大切なポイントが防水への対応です。一般的に雨水に対する防水は外壁材と思われがちですが、厳密には正しい認識ではありません。実際に防水の役目を果たすのは、外壁材の内側に貼られる防水シートです。この防水シートの施工が不十分だと、浸入した雨水によって大事な構造材を腐らせることにもなりかねません。 「住宅性能表示制度」のチェックポイントにはなっていないので、自らチェックする姿勢を持つことが必要でしょう。  また防水シートは、外側からの水分は通さず内側の湿気は外に抜ける透湿性になっているのが普通です。この透湿性を活かして構造材を湿気から守るためには、外壁と防水シートの間に通気層を設けるパッシブ構造になっているかどうかも重要なポイントです。  次に、平均的な住宅である建坪40坪の家でコスト面を比較してみましょう。モルタル壁は吹付けの塗装材によってかなり変わりますが概算で180万円くらい。サイディングは21ミリ厚の釘打ちで約140万円、15ミリ厚の引っかけ式で約180万円。タイルやレンガ張りの外壁は、ぐっとコストが上がって440万円くらいになります。  しかし、これはあくまで建てるときの価格(イニシャルコスト)です。ランニングコストを考えると、モルタル壁やサイディングは定期的なメンテナンスが必要になるのに対し、タイルやレンガ張りははがれ落ちない限りメンテナンスフリーです。  どういった外壁材を選ぶかは、外観のデザイン性や見ばえはもちろん、機能性や建てた後のメンテナンスまで考えて総合的に判断することが大切です。

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