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木造住宅のメリットいろいろ

2018年1月23日「火曜日」更新の日記

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 住宅を建物という観点で広くとらえると、その構造には木造と鉄骨造、そして鉄筋コンクリート造(RC)の3つがあります。中でも、人が生活する住宅として最も好まれるのは木造ですが、それには確固たる理由があります。  よく知られているところでは、木の持っている調湿機能です。冬期のように室内の空気が乾燥してくると、木は蓄えていた水分を空気中に放出します。逆に梅雨のような湿気の多い時期には、空気中の水分を吸収。人間が快適に暮らせるよう室内の湿度をコントロールする自然のエアコンディショナ-の役割を果たしてくれるわけです。  また木は、断熱性にもたいへん優れています。それは鉄やコンクリートの熱伝導率と比較すれば一目瞭然です。木の熱伝導率は、コンクリートの約15分の1から20分の1、鉄では何と300分の一を下回ります。つまり、熱を伝えにくいということは、それだけ断熱性が高いことを意味しています。例えば、木造に比べてRCの家が冬暖まりにくく夏冷えにくいと言われるのはこのためです。  木のメリットは、これだけにとどまりません。2000年から3000年以上も生き続ける強い生命力を持つとともに、伐採された後も樹木として生きてきた年月と同じだけ生き続けると言われています。  日本最古の木造建築と言われる法隆寺を見ても、その驚異的な寿命の長さがわかります。 1300年以上にわたって風雪に耐えてきたヒノキの柱は、修復の際カンナで表面を削ったところ、ヒノキ特有の香りが漂ったということです。これは、1300年以上経った現在も呼吸していることの証にほかなりません。  製造された時から劣化が始まる無機質の鉄やコンクリートに対して、木は伐採された後でも強度が維持されます。むしろヒノキなどでは、切られてから200年から300年の間は曲げや引っ張り強度などが少しずつ増大、その後千年かけて元の強度に戻ることが法隆寺の柱から確かめられています。  人間や生物への精神的な面でも、木の優位性を実証する研究結果が次々に発表されています。有名なところでは、名古屋大学の木材、コンクリート、アルミニウムの飼育箱を使った3世代マウスの飼育・出産・保育実験があります。  この実験では結果として、総出産89例中、親が情緒不安定になり子を食べてしまう異常がコンクリート製で10例、アルミ製では8例あったのに対し、木製で床材が木製チップの飼育箱ではゼロであったことが報告されました。  こうした木の精神的効用は古くから経験則として知られていましたが、現在ではその要因が科学的に解明されてきています。  「木の精神的効用」 1ストレスを解消する森林浴効果  森の中を散歩した時、心地よくなるのは昔から知られていましたが、これは植物が発散する香り成分「フィトンチッド」が大きく関与することがわかってきました。また「αネン」という香り成分は、疲労回復を促進する効果があると言われています。 2気持ちが休まる心地よい音響効果  コンサートホールの多くが、内装に木が使われているのをご存知ですか。これは、木には低音・中音・高音をバランスよくきれいに響かせるという特性があるうえに、表面の凹凸が音を複雑に反射させることで音に丸みと深みを与える音響効果があるからです。 3木目による視覚的な癒し効果  自然界には、人間の生体リズム(呼吸や心拍など)と同様の「1/fゆらぎ」と呼ばれる独特のリズムがあります。実は木の年輪の間隔にも、この「1/fゆらぎ」があると言われています。このゆらぎが、私たちの心に安らぎを与えてくれるわけです。 4心が落ち着く木肌の温もり  鉄やコンクリートに触れても温もりを感じることはないと思いますが、木に触れると心が落ち着く気がします。実際に、木にさわっているときの脳波や血圧を測定してみると、血圧が低下し心地よさを示す脳波が現れたということです。  以上のように、耐久性や断熱性、調湿機能、さらには精神的効用まで、およそ住宅にとって木は非常に優れた素材であることは間違いありません。歴史的に、木造が日本の住文化としてしっかり根づいたのは当然の結果と言えます。  そして木造住宅のメリットとして、もう一つ忘れてならないポイントがエコロジーの側面です。木は再生産が可能な循環型資源なのです。  よくアマゾン川流域などで森林の乱伐が問題になっていることから、木を使うことは環境破壊を助長しているように感じる人がいるかもしれませんが、それは誤解です。むしろ木を住宅に活用することは、地球の環境保全につながります。  というのも、森林はそのまま保全すれば地球の温暖化防止に役立つというわけではありません。温暖化の原因の一つとされる2酸化炭素を十分に吸収してくれるのは、旺盛に成長している時期で、樹齢を重ねた木は2酸化炭素の吸収力が弱くなります。したがって、「伐って、植えて、育てて、利用する」という森林のバイオマス(循環サイクル)を確立することが大切になってくるわけです。  ある研究機関が、住宅を新築しそこで生活、リフォームを行い建物を破棄するまでの住宅のライフサイクルエネルギーを耐用年数別に試算したところ、木造住宅は50年サイクルが最も地球環境にやさしいと言われています。

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