管理人はだれ！？

2017年9月11日「月曜日」更新の日記

伝統構法の再評価と言いましたが、現在の木造住宅の構法は、あまりにも多様化してわかりにくくなっています。一般によく知られている名称は通称名であり、構法名ではありません。そこで、混乱を避けるため、この本では、構法の定義を明らかにしてから話を進めたいと思います。まず、一般的に「プレファブ」というのは「あらかじめ工場で作って来る」という生産プロセスから呼ばれる名称です。構法的には、木質系パネル構法などをいいます。阪神・淡路大震災の直後、一部の報道が「プレファブは残った」と書き、この報道がもとで、一般の人たちの在来構法や伝統構法への不安と、伝統構法を支持する人たちの反感を招いてしまったのは有名な話ですが、これも構法の混乱から来た残念な事件であり、誤解を生んだ不幸の始まりでした。ツーバイフォーは、基準になる部材の断面が、２インチ×４インチであることから呼ばれた名称で、構法上の名前は枠組壁工法といいます。北米からやってきた外来の工法です。在来構法とは、ツーバイフォーのような外来に対して、もとより日本に存在していた構法を指すことから「在来」と呼ばれているのですが、伝統構法との違いのわかりにくい構法です。柱、梁等の軸材で構成される点では在来構法と同じ構法です。ともに軸組構法という分類に入ります。ところが、伝統構法と在来構法とでは決定的な違いがあります。伝統構法は、大工棟梁の伝承にもとづく木の粘り強さを生かした日本古来の柔構造的な構法といえます。それに対して在来構法は、日本の軸組構法でありながら、明治以降、西欧的な剛の思想を取り入れて、強度を求めた筋違等のトラス的構法が混在する折衷的な構法です。この本では、日本古来からの伝統構法を基本にして、長寿命の木組の家を実現したいと考えています。そのためには、伝統構法に隠された知恵を、現代の構法に応用することが必要だと思います。　古くて良いものは忠実に保持しながら、現代生活に必要な新しいものを、こころよくとらえたいと考えます。

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