管理人はだれ！？

2017年8月3日「木曜日」更新の日記

リノペーションという新しいマンションのかたちある日、気がついたら、近所に新しいマンションが忽然と出現した。広い空地があったわけでも、長期のマンションエ事が行われていたわけでもないのに……。だが、ちょっと考えてみると、そこは以前、ある会社の社宅だったと思い出す。それにしても、外観から何からすっかりイメージを一新し、キツネにつままれたような思いさえする……。そんな物件を見かけたことはないだろうか。それが最近、マンション市場で急拡大し、存在感を増している「リノベーション」と呼ばれるマンションである。 リノベーションと聞いても、それが何を指すのか、すぐにわかる人はまだ少数かもしれない。リノベーション（renovation）という言葉の意味は「古い建物、絵画などを修理・復元・改装する」という意味である。中古住宅・マンションの改装は「リフォーム」ではないのかと疑問を持つ人も少なくないだろう。実は、リフォームとリノベーションでは意味合いが異なる。国土交通省の定義では、リノベーション＝新築時のもくろみとは違う次元に改修するリフォーム＝新築時のもくろみに近づくように復元する（修繕）となっている。それにしても、役所の定義は相変わらず、わかりにくい。もう少しわかりやすくいえば、リフォームは部屋や区分所有単位の改装を指すことが多く、リノベーションは建物丸ごとを新しい工法、技術、資材、コンセプトなどでくり替え、生き返らせるという意味で使われることが多い。 具体的には、築年数の経った社宅、社員寮、賃貸マンションなどとして使われていた建物を一棟丸ごと購入し、ディベロッパーが必要であれば躯体や内装に最先端の技術を導入して新価値を搭載し、分譲する物件をいう。リノベイトという言葉には「元気にする」という意味もある。リノベーションは、中古の建物に元気を注入し、さらに市場での価値も″元気″にすることをいうともいえそうだ。新しい時代の価値観から生まれたリノベーション市場リノベーションはもともとヨーロッパではごく普通に行われている、建物の改修方法だ。欧米では、文化的な背景や開発ルールなどの理由から、歴史を経た建物を最大限利用し、街並みを大きく変えることなく、時代背景や技術進化に応じた生活空間をつくつていく習慣が培われている。外観や建物は百年以上前に建てられたまま。 しかし、一歩なかに入れば、そこには現代的な生活の空間が広がり、給湯設備など現代の暮らしの設備も完備している。そういう住み方、暮らし方が理想形の一つとして、深く根づいているのである。ところが、日本では、少し前まで、築年数が経過した建物はスクラップーアンド・ビルドするのがあたり前と考えられていた。 しかし、最近の建築技術は飛躍的に進化し、鉄筋やコンクリートの寿命も、以前とは比較にならないほど長くなった。建物そのものはまだまだ十分使えるのだ。こうした建物に全面的に手を加え、新しい命を吹き込んで、新たな″分譲住宅″として市場に出す。 これが、昨今、話題を呼んでいる、日本の不動産市場におけるリノベーションの実像である。リノベーション市場が生まれた背景には、住まい方に関する価値観や不動産価値の時代変遷がある。以前は、不動産は所有していれば自然に値上がりし、資産価値が増大していくものだった。だが、バブル崩壊やリーマンショックなど、経済環境の変化により、不動産は上手に運用しなければ、維持コストがかかるだけの″負動産″になってしまう時代に入ってしまったのだ。そうした不動産事情から、企業で所有していた社宅を手放したり、賃貸マンションのオーナーが相続などを機に売却するなど、一棟丸ごと売却したいという案件が市場に出てくるようになった。社宅は建物ごと、あるいは区分ごと、あるいは一棟借り上げ、従業員に社宅として提供する借り上げ社宅が主流になりつつある。「少し前なら、古い社宅付きで土地を手に入れたら、建物は取り壊し、新しいマンションを建てて商品化するのが定石でした」こう語る四條は、ディベロツプメント事業部統括本部長として、リノベーション事業の責任者の立場にもある。

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