日露戦争時に外債を発行した日本
2017年7月15日「土曜日」更新の日記
- 「彼等」とあるのは製造家、メーカーのことで、「彼等は其製品の原料を調へ、労賃を支払い、其他種々なる経費を賄はねばならぬ」「無限に輸出する品物の代金を取立てずに貸して置くと云ことは、何んなに大きな商人でも製造家でも出来難い」。メーカーは、輸出した製品に要した原料代や労賃を、国内の仕入れ業者や従業員に円で払わなければならない。外貨のままでは、なんとも仕様がない。そこで「銀行が立替へたらば何か」とも考えたようだが、「余裕はない」と書いている。メーカーに代わって、銀行が外貨を抱えたとしても限度がある、ということではないか。日本のこの窮状は、第一次世界大戦の終了によって救われた。経常収支の黒字累積が大きくなりすぎると国内で資金が回りにくくなり経済全体の負担が大きくなるということと、そして、そうした事態の深刻さをすでにこの時代の方々が経験によって知り得ていたことにあらめて驚かされる。日本がせっせと輸出しても、その代金を集金しないでいるような現状はいまに始まったことではないようだ。日露戦争時に外債を発行した日本と、その外債を主に引き受けた英国とのやり取りについて書かれてたものがあるので、次にそれを紹介する。
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